互いに鮮烈なデビューを果たした1990年代半ばから交流があった佐内正史と曽我部恵一。
2019年頃よりふたりは詩の朗読と音楽がブレンドしたギグを展開し始める。2020年2月に都内で行われたイベントに初めて<擬態屋>として出演した。
佐内によるフレーミングが静かに爆発するポエトリーリーディングと、曽我部が織りなすのびやかなサウンド。不定形だからこそのやさしさと存在感を持つ擬態屋の音楽は、凝り固まった日常から私たちを揉みほぐしてくれる。セラピーモンスターかもしれない。
遠い夏の記憶、千葉のアジフライ、ベトナムの夜、太古の恐竜たちへ。沢山の景色を旅する擬態屋。近づいては疑い、時間と空間の間を漂いながら果てしなく応じていく。
その視座を通して見えてくる、ふっくらと柔らかい感覚。
それは私たちの毎日にとって、ささやかだけれど役に立つものかもしれない。
今日も世界のどこかで擬態屋がひっそりと店を開ける時間だ。この自由な店先に、ぜひあなたも足を運んでみて欲しい。
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自分ができることをやろう!キープレフト、輝きを鈍らせて、わかりそうになったら飛んで、わからない場所へいく、光らないように、ぼんやりさせて作ろう。
精霊を探しに行く、精霊は、あー、ソカだった、精霊は、あー、焦げ目がおおい俺たちだった、ぜーかー吹かせている、漢方っぽい美味しかったお茶のように。
海を一緒に走り回って、ほらねー、やっぱりなー、輝いていない!あまり潜らないように、冬の夕暮れの光が差しちゃうから、あまり潜らないように、初夏のまま。
擬態屋の佐内正史
擬態屋の店の前で、サナを待ってる。
鍵をサナが持ってるんだ。
天気が良くて、青空がともだちのよう。
だれもいない、猫も犬もいない、
田舎のような都会のような町。
風が吹いてきて、木々はメロディのよう。
サナが来たら、店を開けて、ふたりで音楽でも作ろう。
今日もヒマそうだから。
そのあと、旅にでも出ようか。
擬態屋の曽我部恵一