甘酸っぱいメロディ、少し背伸びした歌声、しなやかに揺らめくグルーヴ。流線形のデビュー作『シティミュージック』でヴォーカルを務めた女性シンガー、サノトモミのデビュー作が待望のアナログ化。
2000年代にひと足もふた足も早く上質のシティポップ作品を残し、今、より隆盛を誇るシーンの中で多大な影響力を持つクニモンド瀧口氏のユニット、”流線形”。その2003年のデビュー作にして大傑作『シティミュージック』でゲストヴォーカルとしてその存在感を示した女性シンガー、サノトモミ (Tomomi Sano)が2005年にCDでのみ残したソロデビュー作にして名作『サイレントフライト (Silent Flight)』。同じく”流線形”の初期メンバーとして、『シティミュージック』のサウンドメイキングでも中核を担った、林 有三(林有三&サロン ‘68、角松敏生、山本達彦の鍵盤奏者としても活躍)が手掛けた楽曲&アレンジは、1970~1980年代の欧米のソウル、ディスコなどを下敷きにしたサウンドメイキングと、歌謡曲的な哀愁感がマッチした、まさにシティポップ的なステキさ。どこか危うさと艶っぽさが同居したサノトモミ (Tomomi Sano)の歌唱が作品に彩りを添えます。
「A1. Six」のイントロのギターのカッティング、揺らめくストリングスが描く哀愁感がたまらなく、ドキッとさせられますが、同系の滑らかなギターの音色が気持ちよいタイトル曲「A3. サイレントフライト」、軽快なパーカッションが導く、伸びやかなサビのフレーズも印象的な疾走感溢れる「A2. ラストサマー」、スケールを感じさせる、エレピ転がる哀愁の疾走ディスコ「B1. 追憶の鏡」、同じく「B2. 明星」、ささやくような歌唱と弦の絡みが絶妙のミディアムメロウ「A4. ビオトープ」、うねるベースラインとエレピの絡みも絶妙のスロウグルーヴ「B3. スィートバレイ」など、全7曲がシングルカットできそうなクオリティの名作です。シンガー、サノトモミ (Tomomi Sano)の魅力を十二分に引き出した、まるで実力派アイドルシンガーのステップアップ作品かのような統一感のある雰囲気も絶妙で、”流線形”で聴かせた歌唱とはまた一味違う、甘酸っぱさがクセになります。
元々はCDのみのリリースだった作品が初のアナログ化です。オリジナルのアナログのマスターテープを起こし、アナログ盤用のマスタリングを施しました。ジャケットのマットな質感も含め、温かみのあるサウンドをお楽しみください。